電気通信主任技術者とは

電気通信主任技術者(Chief Telecommunications Engineer)は,電気通信ネットワークの工事,維持及び運用の監督責任者である。

電気通信事業者は,その事業用電気通信設備を,総務省令で定める技術基準に適合するよう,自主的に維持するために,電気通信主任技術者を選任し,電気通信設備の工事,維持及び運用の監督にあたらなければならない。

つまり,電気通信主任技術者となる資格があれば,電気通信事業者で重宝される存在(価値ある存在)と言える。

電気通信主任技術者資格証の種類は,ネットワークを構成する設備に着目して,伝送交換主任技術者(Chief Transmission and Switching Engineer)と線路主任技術者(Chief Line Engineer)に区分されている。

資格者証の種類監督の範囲
伝送交換主任技術者資格者証電気通信事業の用に供する伝送交換設備及びこれに附属する設備の工事,維持及び運用
線路主任技術者資格者証電気通信事業の用に供する線路設備及びこれらに附属する設備の工事,維持及び運用
表 電気通信主任技術者資格証の種類

電気通信主任技術者資格者証は,電気通信主任技術者試験に合格した者等に交付される。

電気通信主任技術者試験では,電気通信主任技術者として必要な最低限の専門的知識及び能力について行われる。

試験の種類と科目

電気通信主任技術者試験は,伝送交換主任技術者試験と線路主任技術者試験の 2 種類ある。そして,試験科目は,法規,設備及び設備管理,電気通信システムの 3 科目ある。

電気通信システム

試験科目「電気通信システム」では,電気通信工学の基礎,電気通信システムの大要が出題される。

伝送交換設備及び設備管理(伝送交換主任技術者に限る)

試験科目「伝送交換設備及び設備管理」では,伝送交換設備の概要並びに当該設備の設備管理,セキュリティ管理及びソフトウェア管理が出題される。

線路設備及び設備管理(線路主任技術者に限る)

試験科目「線路設備及び設備管理」では,線路設備の概要並びに当該設備の設備管理,セキュリティ管理及びソフトウェア管理が出題される。

法規

試験科目「法規」では,電気通信事業法及びこれに基づく命令,有線電気通信法及びこれに基づく命令,電波法及びこれに基づく命令,不正アクセス行為の禁止等に関する法律及びこれに基づく命令,電子署名及び認証業務に関する法律及びこれに基づく命令,国際電気通信連合憲章及び国際電気通信連合条約の大要が出題される。

(参考)令和2年度までの試験科目

令和2年度まで,試験科目は,法規,設備及び設備管理,専門的能力,電気通信システムの 4 科目であったが,令和3年度以降,専門的能力の科目がなくなり 3 科目となった。

伝送交換主任技術者の専門的能力の試験科目では,伝送,無線,交換,データ通信の専門分野のうち,いずれか 1 分野を選択し,線路主任技術者試験の専門的能力の試験科目では,通信線路,通信土木,水底線路のいずれか 1 分野を選択していた。

試験の推移

電気通信主任技術者試験統計情報を基に,2000年度以降の試験の申請者数,受験者数,合格者数,合格率の推移を下図に示す。

図 試験の申請者数,受験者数,合格者数,合格率の推移(平成22年度以降)

2000年度以降の平均合格率は約 21 % である。(2017年度以降の合格率は高く推移しているようにも見える。)

なお,令和2年度 第2回の試験の合格者は,1,175 人であり,2000 年以降初めて 1,000 人超となった。これは,令和2年度 第1回の試験が新型コロナウイルス感染拡大により中止になったためと推察される。

表 電気通信主任技術者試験の実施結果(単位は人)
区分 試験申請者数 試験受験者数 合格者数 合格率
令和元年度 第1回 3,356 2,762 667 24.1 %
令和元年度 第2回 3,942 3,172 946 29.8 %
令和2年度 第2回 5,379 4,072 1,175 28.9 %
令和3年度 第1回 3,812 3,298 1,678 50.9 %
令和3年度 第2回 3,877 2,989 1,085 36.3 %
令和4年度 第1回 3,429 2,807 835 29.7 %
令和4年度 第2回 4,125 3,284 1,064 32.4 %
令和5年度 第1回 3,686 3,010 896 29.8 %
令和5年度 第2回 4,134 3,305 1,017 30.8 %
令和6年度 第1回 3,670 2,972 725 24.4 %
令和6年度 第2回 3,570 2,926 958 32.7 %

線路主任技術者試験の推移

令和2年度第2回以降の線路主任技術者試験の推移を下図に示す。

伝送交換に比べて,線路の試験申請者数,受験者数,合格者数は少ないが,合格率は線路の方が高いことが多い。

図 線路主任技術者試験の推移(令和2年度第2回目以降)

地域別の申請者数推移

電気通信主任技術者試験の地域別申請者数の推移を示す。

図 電気通信主任技術者試験の地域別申請者数の推移

業種別の申請者数の推移

電気通信主任技術者試験の業種別申請者数の推移を示す。

図 電気通信主任技術者試験の地域別申請者数の推移

参考文献

更新履歴

  • 2025年4月10日 新規作成
  • 2025年4月12日 地域別申請者数の推移,業種別申請者数の推移を追加

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