IT サービスマネージャ試験 午後Ⅰ 問題

平成21年度以降の IT サービスマネージャ試験 午後Ⅰ 問題を整理をします。

令和6年度 春期試験において,IT サービスマネージャ試験 午後Ⅰ 問題の試験時間は 12:30 ~ 14:00(1 時間 30 分)でした。

平成25年度 秋期以降は問 1 ~ 問 3 のうち 2 問選択,平成24年度 秋期以前は問 1 ~ 4 のうち 2 問選択です。


令和6年度 春期

問1 サービスの予算業務及び会計業務

クラウドサービスの利用が進み,クラウドサービスの料金体系と特徴を踏まえた予算化を行うこと,及び予算と発生する費用を管理することが重要になる。

本問では,IT サービスの予算業務及び会計業務を題材として,費用の分類と費目ごとに費用を明確にする能力,予算を策定する能力,予算が適切に実行されているか監視し管理する能力などを問う。

問2 IoT を活用した駅務サービスの可用性

近年,IoT デバイスなどを構成品目とする IT サービスが増えており,IT サービスマネージャには,構成品目の特性を捉えた管理が求められる。

本問では,IoT を活用した駅務サービスを題材として,稼働率や計画停止といったサービスの可用性管理に関する実務的な能力を問うとともに,SNS データの分析を使った障害検知の早期化による可用性の改善能力を問う。

問3 コンテナ型仮想環境における運用管理

近年,DX を進める企業にとって,新しい IT サービスを迅速に提供することが重要事項となって,コンテナ技術を導入するケースが増えている。本問では,新たにコンテナ型仮想環境を導入する事例を題材として,IT サービスマネージャとして,コンテナ型仮想環境を使うメリットやコンテナ技術の特徴を理解しているかを評価し,運用管理に必要な能力を問う。

令和5年度 春期

問1 AI を使ったシステム監視の改善

システム監視において,業務の効率化や品質の向上のためには,自動化ツールを効果的に利用することが重要である。

本問では,自動化ツールとして “AI を使ったシステム監視” を対象とし,過去の監視データから最適なしきい値を求めてシステムを監視する取組を題材として,自動化ツールの特性を踏まえたシステム監視を適用し,改善する能力,及び改善した結果を分析,評価できる能力を問う。

問2 情報セキュリティの管理

情報セキュリティ管理の検討に当たっては,現在のシステム運用状況及び情報セキュリティ対策の内容を把握し,技術動向も踏まえて,効果的な強化策を策定する。

本問では,既存システムへの情報セキュリティ管理の強化を題材として,業務運用への影響を考慮したマルウェア対策製品の導入,ログ管理システムの導入検討などを通じて,情報セキュリティ管理の実務能力を問う。

問3 デジタルトランスフォーメーション(DX)の取組における,サービスの計画及び提供

近年,企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組むに当たって,IT サービスマネージャが DX を推進し支援する役割を担うケースが増えている。

本問では,DX の取組における新サービスを題材として,IT を活用した新サービスの計画と運用の実行及び評価を行う能力,並びに解決すべき課題に対する効果の測定,導入初期のサポートなどの対応について,実務能力を問う。

令和4年度 春期

問1 サービスレベル管理

新規に SLA を設定する場合,サービスレベル目標を仮設定し,サービス目標値に対する達成度を測定し,サービス目標値が達成可能か,又は調整が必要かを確認する必要がある。

本問では,既存システムの再構築を行う事例の中で,SLA の設定,サービスレベル目標に対する達成状況の確認,外部供給者との調整を通じて,サービスレベル管理の実務能力を問う。

問2 容量・能力管理

容量・能力管理では,サービスの要求事項に従い,サービスのパフォーマンスを適正な容量・能力で提供する。

本問では,業務サーバ能力の検討,ディスク装置容量の検討,業務特性に応じてピーク時の需要を分散する方策の検討などの活動に関して,IT サービスマネージャに要求される容量・能力管理の能力を問う。

問3 サービスの移行

近年,クラウドサービスを活用したサービス運用が増えている。クラウドサービスを活用するに当たり,クラウドサービスの制約を認識し,利用者に提供するサービスのサービス目標に照らして,サービスの移行を計画する必要がある。

本問では,インフラ基盤の PaaS への移行を題材として,サービスの移行に関する要求事項の計画及び外部供給者との調整能力を問う。

令和3年度 春期

問1 複数の外部供給者に対する供給者管理

IT サービスマネジメントでは,提供するサービスの一部機能を外部供給者に委託する場合,サービスの要求事項を考慮し,SLA を顧客と合意するに当たって,外部供給者との調整が重要になる。

本問では,外部供給者が複数存在するサービスを題材として,社内顧客や外部供給者との調整能力,及びインシデント発生に備えた調整能力を問う。

問2 情報セキュリティの管理

近年,マルウェア感染による被害が拡大している。IT サービスマネージャには,このような情報セキュリティインシデントへの的確な対応や攻撃を想定した訓練計画の立案が求められる。

本問では,生産システムを利用する PC がマルウェアに感染した事例を題材として,情報セキュリティインシデントの対応及び訓練計画の立案に関する,IT サービスマネージャとしての情報セキュリティ管理能力を問う。

問3 データセンタのファシリティマネジメント

データセンタは,分散する IT 機器を集中設置し効率よく運用するために作られた専用施設であって,高い信頼性の確保が求められる。

本問では,自社のデータセンタにおける電力供給設備の冗長性などに関する課題を題材として,ファシリティマネジメント,インシデントの管理に関する実務経験を問う。

令和元年度 秋期

問1 継続的サービスの改善

IT サービスにおいて効果的なサービス改善に取り組むためには,データの収集と加工,分析を通して改善策を検討していくことが重要である。

本問では,改善プロセスに沿って,データを収集し,データの加工などを通じて,社内サービス目標値や KPI の目標を達成できていない場合の原因を分析し,サービスとプロセスの改善方法を策定するまでの一連の実務能力を問う。

問2 アプリケーションソフトウェアの変更管理と構成管理

IT サービスマネジメントの構成管理活動では,ライセンスを含めたソフトウェア資産の管理が重要になる。

本問では,RPA ツールを新規に導入する際のソフトウェアの変更管理や PC の構成管理を題材に,サービスマネージャとしての変更管理及び構成管理能力を問う。

問3 ヒューマンエラーに起因する障害管理

サービスマネジメントの問題管理プロセスでは,根本原因を特定するために,インシデントのデータを分析する。また,潜在的な予防処置を特定するために,インシデントのデータの傾向を分析して,インシデントの再発を防ぐ必要がある。

本問では,ヒューマンエラーに起因する障害管理の事例を題材にして,問題の恒久的な解決及び改善すべき課題を確認し,問題解決に必要な能力を問う。

平成30年度 秋期

問1 IT サービスの継続性

業務の IT への依存度が高くなる中,IT サービスマネージャには,自然災害などの発生時において IT サービスを速やかに回復し,IT サービスを提供する能力が求められている。

本問では,既存の IT インフラを活用した災害対策及び復旧訓練の実施を題材に,IT サービス継続マネジメントの能力,サービス継続計画の訓練を通した課題発見能力を問う。

問2 リリース及び展開管理

事業環境の迅速な変化に合わせて,ビルドやテストを反復的に行うシステム開発が増えている。これに伴って,リリース及び展開管理プロセスをシステム開発の変化に適合させていくことが,重要になってくる。

本問では,アプリケーションソフトウェアのリリースを題材に,リリース及び展開管理プロセスを実践する IT サービスマネージャを想定して,サービス利用者,システム管理者からの能力に対応する改善能力,適応保守や是正保守に対するシステム環境管理能力,リリース及び展開計画に関する能力などを問う。

問3 サービスデスク

サービスデスクでは,インシデント管理手順を着実に実施し,サービス目標の達成を図る。

本問では,インシデント管理手順における優先度の扱い,再発インシデントに備えた対応,サービスデスクにおける標準変更の対応などを題材に,IT サービスマネージャとして,インシデント管理手順を遂行する能力,プロセスを改善する能力などを問う。

平成29年度 秋期

問1 IT サービスの可用性

企業の業務を支援する IT サービスには,少ないサービスの停止時間などの,高い可用性が求められる。本問では,POS システムを題材に,障害回復手順の整備,修理時間の短縮,予防保守などの観点から,IT サービスの可用性に関する管理能力,障害に対するサービスの回復力を向上させる能力,及び供給者管理の実務能力を問う。

問2 問題管理及び変更管理

IT サービスマネジメントの日常管理を通じて,標準化された問題管理プロセス及び変更管理プロセスを確立することが重要になる。

本問では,問題管理における問題解決,変更管理における RFC の受入れ,意思決定における考慮点,構成管理プロセスとの連携などを題材に,サービスマネジメントの実務能力について問う。

問3 サービスデスク

IT サービスの拡大に伴って,IT サービスと利用者の接点となるサービスデスクの機能は,ますます重要になってくる。

本問では,顧客のサービスデスク機能を受託しているサービス提供者を題材に,サービスデスク業務の計画と実施を行う IT サービスマネージャを想定して,サービスデスクの組織化に関する能力,利用者に対して FAQ などの支援ツールに関する能力,インシデント及びサービス要求管理プロセスを遂行する能力,情報セキュリティインシデントを想定した訓練に対応する実務能力などを問う。

平成28年度 秋期

問1 サービス継続及び可用性管理

事業継続計画(BCP)への社会的ニーズが高まる中,IT サービスマネージャには,BCP に基づいてサービス継続計画を作成し,管理していくことが求められる。

本問では,クラウドサービスを利用した災害対策用システムの検討,及び復旧訓練の実施を題材に,サービス継続計画を作成し,管理する能力,サービス継続計画を試験する能力,及び変更管理プロセスを使って計画する能力を問う。

問2 キャパシティ管理

キャパシティ管理では,サービスの要求事項に従い,サービスのパフォーマンスを適正な容量・能力で提供する。

本問では,変動するサービスの利用量に起因するキャパシティの不足によるインシデントを防止し,SLA の目標値を達成する活動,及び将来の需要に対応してキャパシティ計画を変更する活動に関して,IT サービスマネージャに要求されるキャパシティ管理の能力を問う。

問3 インシデント管理

インシデント管理のプロセスでは,サービスの回復を,合意したサービス目標及び時間枠内に達成するために,インシデントを一貫して管理することが求められる。

本問では,標的型攻撃メールによるインシデントを題材に,IT サービスマネージャとして必要な,インシデントを解決する能力,インシデント解決のために分析を行う能力,及びインシデント管理手順を管理する能力を問う。

平成27年度 秋期

問1 IT 資産管理

IT サービスマネジメントにおける構成管理活動では,ライセンスを含めたソフトウェア資産の管理などの IT 資産管理が必要になる。

本問では,ライセンス管理,資産管理プロセスの手順整備及びシステム化の事例を題材に,組織内の IT 資産管理に関わる IT サービスマネージャの能力を問う。

問2 サービスデスク

サービスデスクに関わるサービスレベルを維持するために,重要度・緊急度によって設定される優先度に基づいた対応など,インシデント及びサービス要求管理プロセスに則した手順の遵守が必要となる。また,サービス水準管理の観点から,内部グループとの調整などの改善活動が必要となる。

本問では,インシデント及びサービス要求管理プロセスを遂行する能力,並びにサービスデスクの組織化に関わる能力を問う。

問3 リリース及び展開管理

リリース及び展開管理プロセスの計画立案段階では,移行に当たって利用者への影響を最小限に抑える措置が必要となる。また,レビューにおいては,展開の判断基準や展開後の初期サポート活動終了基準の確認が重要となる。

本問では,複数のシステムが連携して稼働するシステムの移行を題材に,IT サービスマネージャとして実務能力を有しているかを問う。

平成26年度 秋期

問1 IT サービスの設計

IT サービスマネージャは,サービスに関する顧客の要件やサービスレベルの達成目標を踏まえ,サービスを設計していく能力が求められる。

本問では,販売システムの再構築を通じて必要となる,サービス継続及び可用性管理,キャパシティ管理に関わるサービスの設計能力を問う。

問2 キャパシティ管理

キャパシティ管理では,キャパシティの要求事項に合意し,需要を予測し,要求事項を満たすことを確実にするために,計画を策定する。計画策定は,顧客の事業計画を将来のサービスの要求事項に反映する事業のキャパシティ管理,サービスの応答時間など合意したサービス目標を満たすことを確実にするためのサービスキャパシティ管理,運用資源及びコンポーネントの計画・管理を中心とするコンポーネントのキャパシティ管理などの分野で実施する。

本問では,IT サービスマネージャに要求されるキャパシティ管理の能力を問う。

問3 データセンタの運用

IT サービスのクラウド化の進展とともに,それを支えるデータセンタの重要性は従来に増して高まっている。データセンタにおけるインシデント対応,入室管理及び設備・機器の管理においては,サービスマネジメントプロセスに裏付けられた精度の高い管理が必要となる。

本問では,IT サービスマネジメントを行う上で,IT サービスマネージャとしての実務的管理能力を問う。

平成25年度 秋期

問1 システムの移行

IT サービスマネージャは,システムの移行に際し,各種計画を立案し,安全確実に実行する必要がある。

本問では,様々な条件を考慮しながら,移行計画を立案する能力,移行方式を策定する能力,切替えの実施方法に関わる能力など,サービスの移行に関する能力を問う。

問2 サービス継続及び可用性管理

東日本大震災以降,サービス継続性が特に注目されている。このような中で,IT サービスマネージャには,重大なサービス障害,災害状況などの下で,顧客と合意したサービス継続についての責任を果たすことが求められている。

本問では,BCP と連携したサービス継続計画の策定,サービス継続計画の発動から全面回復に至るフェーズにおける実施項目の検討と試験などを通じて,サービス継続に関する計画能力,サービス継続計画を有効な状態に維持する管理能力を問う。

問3 サービスの運用

グループ企業の業務効率化のため,システム統合が行われることがある。運用対象のシステムの増加によって,システムの利用者も増加することから,システムの安定運用のためには,利用者からの問合せ,より適切に,効率よく対応していく必要がある。また,新規のシステム運用の受入れも増えるので,自社の運用ルールに合わせたシステムの受入れも重要となる。

本問では,IT サービスマネージャとしての,状況に応じた適切なオペレーション管理の見直し能力を問う。

平成24年度 秋期

問1 サービスレベル管理

IT サービスマネージャには,サービスレベルに関する顧客の要件(Service Level Requirement)を踏まえてサービスレベルの目標値を設定し,目標の達成に向けて必要なリソースを調達してサービスを提供することが求められる。

本問では,サービスレベルの目標値を設定して管理する能力,及び目標達成に向けて適切な対応を行う能力を問う。

問2 IT サービス財務管理

IT サービスマネージャには,サービス提供に関わる費用を可視化し,適切な財務管理を行うことが求められる。

本問では,投資決定に影響を及ぼすキャパシティ管理の能力とともに,費用の分類と費目ごとに費用を明確にする能力,費用予算を策定し,管理する能力など,IT サービス財務管理の能力を問う。

問3 アプリケーションの受入れ

アプリケーションの受入れでは,運用開始後のシステムの利用方法を想定し,切替え前に機能や設定に問題がないことを適切に検証する必要がある。さらに,システムの切替えに当たっては,提供中のサービスに影響を与えないように,リスクを最小限にする移行計画を策定する必要がある。

本問では,IT サービスマネージャとして,受入れ基準,システムを安全,確実に切り替えるための移行計画の策定能力を問う。

問4 セキュリティ管理における脆弱性検査

脆弱性検査は,脆弱性を発見するための有効な手段の一つである。

本問では,脆弱性検査や仮想攻撃,ログの管理を通じて,情報セキュリティにおけるリスクを低減させ適切な管理策を選定する能力,情報システムへのアクセス管理策を策定する能力を問う。

平成23年度 秋期

問1 IT サービスの障害管理

JIS Q 20000 の解決プロセスをテーマにして,迅速なサービス回復を目的とした,インシデントの記録,追跡,終了までの管理プロセスをとりあげた。インシデント処理プロセス実施上の課題や障害に関するレポーティングと改善事例を通して,サービスマネージャとしての実務的管理能力と管理プロセスの改善提案力を問う。

問2 キャパシティ管理

キャパシティ管理では,IT リソースを効率よく利用し,IT リソースのキャパシティとビジネスからの要求を将来にわたって確実に適合させ,業務要件を満足させるように IT サービスのパフォーマンスを監視・分析・調整することが重要である。

本問では,IT サービスマネージャとして,将来の需要予測に適合させるためのキャパシティ管理能力と,IT サービスのパフォーマンス問題への対策に関する実務的能力を問う。

問3 セキュリティ管理

近年,情報システムにとっては,セキュリティは具備すべき必須要件である。特にインターネット経由で直接顧客にサービスを提供するシステムは,顧客情報の保護,外部からの攻撃への考慮も必要である。

本問では,アカウント管理,インターネットからのアクセスログ分析方法,セキュリティ改善などを通じて,IT サービスマネージャとしての実務管理能力を問う。

問4 販売管理のオペレーション管理

IT サービスマネージャには,ビジネス要件の変化に合わせて,システム運用管理のオペレーションを適切に見直して管理することが求められる。

本問では,オペレーション変更に伴う問題発見能力,オペレーション体制を構築する能力,更にはオペレーションが現場で確実に実施されるように管理する能力などの,実務的な能力を問う。

平成22年度 秋期

問1 IT サービス継続性管理

企業が事業を行う上で,情報システムは重要な役割を担う。そのため,IT サービスマネージャには,事業要件に沿った形でサービス継続計画を作成し,サービス継続性を管理していく能力が求められる。

本問では,RPO などの目標値を適切に設定する能力,現行のシステム構成や保守・運用プロセスが適切でない場合に問題を発見する能力,及び発見した問題を解決する能力を問う。

問2 可用性管理

業務システムの運用に当たっては,IT サービスに影響を与えないように,高い可用性を維持することが重要である。

本問では,可用性の監視能力,可用性を確保するためのシステム構成や運用方法に関する能力,可用性を阻害するシステム構成上の弱点を確認する能力,計画的な保守時間の管理などの可用性管理能力を問う。

問3 サービスデスク

IT サービスにおいては,サービスデスクの対応が利用者の満足度に影響を与えるので重要である。また,作業のパフォーマンスを適切に管理していくことも重要である。

本問では,サービスデスク業務の計画と実施を行うリーダを想定して,FAQ などのサポートツール使用に関する能力,インシデント管理プロセスを遂行する能力,管理指標を設定し評価分析する能力,IT サービスに対する顧客満足度を向上していくための管理能力を問う。

問4 情報セキュリティの運用と管理

セキュリティインシデントは,企業経営に直結するリスクとして認識されるようになってきており,情報セキュリティの運用・管理の重要性が高まっている。

本問では,アカウントの管理など情報セキュリティの運用・管理に関する問題を取り上げ,IT サービスマネージャとして,リスク軽減の対策を行う能力,アクセス管理のための技術的方策を策定する能力などの実務能力を問う。

平成21年度 秋期

問1 サービスレベル管理

IT サービスを提供するサービス提供者は,顧客との間で SLA を定義し,合意していく必要がある。また,サービス提供者は彼らの供給者に対し,均質なサービスが確実に提供されるように管理して,供給者が提供するサービスレベルを,SLA で文書化して関係者内で合意する。

本問では,サービスレベル管理及び JIS Q 20000 の関係プロセスで定義する顧客関係管理・供給者管理を出題し,IT サービスマネージャのリスク管理能力など実務的な管理能力を問う。

問2 キャパシティ管理

キャパシティ管理では,ビジネス要件に必要な IT リソースのキャパシティとパフォーマンスを適正なコストで提供し,キャパシティに起因するインシデントを防止し,サービスレベルの要求水準を達成することが重要である。

本問では,IT サービスマネージャとして,キャパシティ計画に基づく PDCA の実務能力と,ビジネス要件やサービスレベルの要求水準を満たすためのキャパシティ管理能力を問う。

問3 システムの運用管理

業務システムの運用に当たっては,ユーザ要件への対応や運用コストの削減,トラブル削減など,システム運用業務の効率向上・高品質化が課題となっている。運用担当者によるオペレーション業務は,最近ではシステム運用管理ツールの活用によって,障害対応などの臨時処理のほか,システムの稼働監視業務が中心となっている。

本問では,運用オペレータのチーム編成に関する知識・能力を問うとともに,システムの稼働監視として実施している出力メッセージに対する対応工数の削減策,磁気テープオペレーションの効率向上策,夜間のバッチ処理時間短縮のためにジョブ構成を見直し,適切にジョブ分割を行う対策など,オペレーション業務の生産性向上を目的とした複数の対策に関する実務的能力を問う。

問4 情報セキュリティ管理

情報システムへのアクセス管理において,高いセキュリティを確保するために,利用者 ID,パスワードだけではなく,電子証明書を利用して認証を行うことが多くなってきている。電子証明書を利用した認証を行うためには,電子証明書のバックアップの保管方法や,紛失時の運用対応方式,セキュリティ事故発生時の対応方法などを,あらかじめ定めておく必要があるが,運用負荷とセキュリティ(認証強度)のバランスを考慮して方式を定めることが重要である。

本問では,利用者認証サービスの運用について,セキュリティ上の問題点の発見,認証サービスを安定して稼働させるための考慮点,改善策などの観点から,IT サービスマネージャとしてのセキュリティ管理能力を問う。

更新履歴

  • 2024年10月14日 新規作成
  • 2024年4月21日 令和6年度 春期を追加

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