変更管理プロセス

IT サービスの変更管理プロセスについて解説する。

変更管理

変更管理は,サービスのコンポーネント,文書の変更を安全かつ効率的に行うための管理である。事業部や IT 部門などからの RFC(変更要求)を受け取り,対応する。

ITIL v3 における変更管理プロセスの考え方として,変更諮問委員会(CAB)だけではなく,緊急時の決定を下す権限を有する小規模な組織を特定しておくことも必要である。

変更のアセスメントする際に確認すべき項目

変更管理では,変更のアセスメントする際に確認すべき項目を 7 つの R としてまとめている。これらの情報を確認することで,稼働中のサービスに対して変更を実施する際の効果とリスクを適切に測ることができるようになる。

  • 提起 (Raised) : 変更を提起したのは誰か?
  • 理由 (Reason) : 変更の理由は何か?
  • 見返り (Return) : 変更によって得られる見返りは何か?
  • リスク (Risk) : 変更に伴うリスクは何か?
  • リソース (Resource) : 変更に必要なリソースは何か?
  • 責任者 (Responsible) : 変更の責任者は誰か?
  • 関係 (Relationship) : 変更は他にどの変更と関係しているか?

変更要求 (RFC)

RFC (Request For Change) は,インシデント管理プロセスや問題管理プロセスから発行される変更要求である。RFC を受けて実際にシステム構成を変更するのは変更管理プロセスでの活動である。

変更の優先度

変更管理の優先度は,緊急または通常に分類される。

変更のカテゴリ

標準変更とは,リスクが低く,比較的よくあり,手順又は作業指示書に従う事前認可済の変更である。

通常変更とは,計画どおりのサービス変更で,標準変更でも緊急変更でもないものである。

緊急変更とは,早急に実施することが望ましい変更で,例えば,重大なインシデントの解決又は情報セキュリティパッチの実施を目的としたものである。

変更諮問委員会 (CAB)

IT サービスに変更を加える要因には,単純なオペレーションだけでなく事業戦略やビジネスプロセスの変更など,様々なものがある。そのため,顧客やユーザ,開発者,システム管理者,サービスデスクなどの様々な立場の利害関係者が定期的に集まり,変更をアセスメントする変更諮問委員会(CAB : Change Advisory Board)が開かれる。

ITIL における変更諮問委員会 (CAB : Charge Advisory Board) とは,提出された RFC(変更要求)を評価し,変更のアセスメント,優先度付け,およびスケジューリングにおいて変更マネージャに助言を与える組織である。CAB は,顧客(経営者層)の代表,ユーザ(サービスの利用者)の代表,技術的専門家,外部サプライヤなど,部門横断型の階層から招集され,RFC をビジネスの観点から評価する。ただし,RFC の最終承認やそれに基づく変更計画の作成を直接行う組織ではない。

開催を通知された CAB 要員が開催日時に CAB に参加できない場合がある。このような場合,CAB 要員は RFC の内容を事前に確認し,リスクアセスメントを行い,結果を CAB へ提出する。

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