IT サービスマネジメント
IT サービスマネジメントは,一般的なサービス業におけるマネジメント手法を IT サービスに拡張したものであり,基本的な理念は共通している。
サービスの定義
サービスマネジメントにおけるサービスは,以下の通り定義することができる。
ヒト,モノ,システムなどの要素を組み合わせ,顧客に価値を提供する活動
サービスには,以下の特徴がある。
- 形がなく,触ることや試すことができない(無形性)
- サービスの提供と消費が同時進行するため,サービス消費者がサービス提供プロセスに深く関与することになる(生産と消費の同時性)
- サービス提供の都度,サービスの品質がバラツキやすい(不均質性)
サービスの価値の定量的な評価・測定は難しいものの,その価値がどういった要素でこうせいされているか理解しておくことは,サービス提供者にとって重要である。概念的ではあるが,サービスの価値は,次の公式で表すことができる。
サービス価値 = サービス品質 / サービスコスト
分母のサービスコストは,顧客がサービスを利用するにあたり支出するコストの総額である。分子のサービス品質は,サービスの利用者がサービスの利用後に感じる実績品質と,消費者がサービスを利用する前に「これくらいであろう」と期待している期待品質との差分として表される。
IT サービスマネジメント
IT サービスを効率的・効果的にマネジメントするための包括的なフレームワークを,IT サービスマネジメントと呼ぶ。ITIL という用語が広く知られているが,ITIL は IT サービスマネジメントのフレームワークを導入するにあたっての具体的なプラクティスを取りまとめたものえある。
IT サービスマネジメントを導入する目的と効果は,以下の通り。
- 現在および将来のビジネスニーズに即した,最適な IT サービスを提供することで,ビジネスを下支えし,その成果を最大化する
- IT サービス提供に関わるプロセスやルール・方針を標準化することで,サービスの品質の向上および中長期的なコスト削減を実現する
- IT サービスの品質を定量的に把握・管理することで,サービスの品質や費用対効果の継続的な改善力を醸成する
- ビジネスに対する IT サービスの貢献を明確化することで,IT サービス提供部門にプロフェッショナル意識を醸成する
- IT サービスの特徴・内容や制約事項などをユーザに正しく理解してもらうことで,IT サービスに対する価値観を共有する
サービスレベル管理
サービスレベル管理は,顧客とサービス提供者とであらかじめ合意したサービスレベル(水準)を維持するためのプロセスである。
具体的には,サービス提供時間や稼働率などの目標値を設定し,その実績値について監視し,目標のサービスレベルが実現・維持できなくなるような傾向がみられたならば,他のプロセスと連携して改善を図る。
容量・能力管理
IT サービスマネジメントの容量・能力管理において,将来のコンポーネント,並びにサービスの容量・能力及びパフォーマンスの予想は,採用する技法及び技術に応じて様々な方法で行われる。
予想するに当たって,モデル化の第一段階として,現在達成されているパフォーマンスを正確に反映したモデルを作成することをベースラインのモデル化と呼ぶ。
更新履歴
- 2024年4月1日 新規作成
- 2024年4月13日 「サービスレベル管理」を追加
- 2024年4月14日 「容量・能力管理」を追加